夏目漱石の草枕 (新潮文庫)の冒頭である。
この冒頭だけが有名だが、その後の文も秀逸だ。
人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。・・・ただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。
・・・・
住みにくい所をどれほどか、寛容て、束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。
住みよくせねばならぬとは分かっていても、どうしたものやら。
なにしろ、
智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。